当事者間で冷静に話し合い、財産分与についても決め、円満に離婚するケースも沢山あります。
しかしながら、相手が財産や収入を隠していることが疑われたり、財産の分け方でもめる場合、慰謝料を支払うかどうかでもめる場合、片方が離婚を望み、もう一方が離婚を望まないケースも少なくありません。
どのようなときに離婚の交渉を弁護士に依頼した方がいいのか、交渉の際に、弁護士はどのようなことを行うのかについてのご説明です。
離婚の交渉を弁護士に依頼することが向いているケース
- 財産関係
- 財産関係が複雑。沢山あるケースでは、弁護士が相手方に財産の確認資料を請求し、確認し、正当な権利主張をすべきです。
ご本人だけでは、どのような資産が財産分与の対象となるのか、資産の資料にはどのようなものがあるのか、計算方法も分からないことがあります。また、その整理も必要です。財産を整理して、どの財産が財産分与の対象となり、財産分与の対象とならないかを区分し、証拠の有無も確認し、請求金額が決まります。調停、裁判を行った場合を見据えて判断する必要があります。 - 離婚するかで争い
- 片方が離婚を望み、片方が離婚を拒否する場合。弁護士が説明、説得することが有効なケースもあります。
- 子供のことで争い
- 親権、面会交流や、養育費でもめている場合、弁護士が、裁判例や、裁判所で用いられている算定表の基準を説明することにより相手方の納得が得られることもあります。
- 相手に弁護士
- 相手に弁護士が付いているケースでは、ご本人だけで進めるのはなかなか大変なこともあります。
- 条件が複雑
- 財産が沢山あり、権利関係も複雑な場合など、離婚条件が複雑であるときには、専門家が入ってきちんと決めた方がいいでしょう。
- 複雑な条件を公正証書にする
- シンプルな条件を公正証書にするときには、ご自身で公証役場で依頼すれば足ります。
しかしながら、離婚条件が複雑なときには、色々な観点から、よく検討した上で公正証書を作成することが大切です。公証役場は、相談機関ではないので、ご自身で内容を固めて依頼しなければなりません。離婚条件が複雑なときには、弁護士に依頼した方がいいでしょう。
交渉の事例
交渉により解決した事例として、次のような事例があります。
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1. 夫が離婚を拒否
いくら離婚を申し入れても、夫から拒否されている。
しかし、夫はいい人なので、できるだけ傷つけたくないし、調停や裁判にもしたくない。
→弁護士がどうしても離婚したいと思っている妻の気持ちを説明し、話し合いでまとまらなければ、調停、裁判も考えていることを説明し、協議離婚が成立。
2. 妻の実家からもらったお金まで、夫が出したお金と主張された
夫が妻を甘く見ていて、明らかにおかしなことを言い張ることも少なくありません。
→弁護士がお金の流れ等を説明し、夫の主張は裁判では通らないことを主張し、説得。
3. 大まかな離婚条件の合意はできているが、財産分与の分割払い、養育費の支払いを確実にしたい
→相手方との間で、条件の詰め、合意書の内容の調整を行い、公正証書を作成。
4. 夫が弁護士を付けて離婚協議を求めてきた
→夫の弁護士は夫の代理人なので、夫の利益を図ります。複雑な内容だったので、弁護士間で何度も調整し合意書を作成し、話し合いで解決。
5. 離婚することは合意しているが、財産関係が複雑でいくら請求できるのかも分からない。
→弁護士が財産関係を整理し、裁判になったら、いくら位認められるかを検討の上交渉し、合意書を作成。
6. 妻とは話をしたくない夫
→弁護士が妻の代理人として条件を交渉し、合意書を作成。
7. 夫から提案された条件には同意してもいいと思っているが、合意書を作成する前にお金を支払えと言われている
→夫の性格から言っても、合意書作成前にお金を支払うことは危険なので、弁護士が間に入って交渉し、調停になり、調停で離婚。