養育費について

 離婚するときに、決めなければならない大事なことの一つに養育費があります。
 養育費の金額はどのように決めるのでしょうか。
 養育費の金額で話がまとまらなかったときはどうすればいいのでしょうか。
 養育費はいつまでの分を請求できるのでしょうか。
 父親が病気するなどして、決めた金額を支払続けることが難しくなったときはどうすればいいのでしょうか。
 決められた養育費を支払ってくれなくなったときは、どうすればいいのでしょうか。

 これらのことについてのご説明です。

養育費とは?金額の決め方、支払期間等

養育費とは
 養育費とは、未成熟子が独立の社会人として成長、自立するまでに要する全ての費用です。
  具体的には、子の衣食住の費用、教育費、医療費、適度の娯楽費などがあたります。
 未成熟子の両親には、子に対する扶養義務があり、その程度は生活保持義務(自分の生活を保持するのと同程度の生活ができるようにする)であり、親は自分の生活費を削ってでも、子に自分と同程度の生活をさせなければならないとされています。
養育費の金額の決め方
 家庭裁判所では、養育費の算定表を作っており、これを基準にしております。
 そこで、話し合いで決めるときも、家庭裁判所が決めるときにも、この表を参考にして決めることが多いです。
養育費はいつまで支払うのか
 養育費の支払期間は、基本的には、子どもが成人に達するまでですが、親の資力、学歴、その他の家庭環境等を考慮して、延長又は短縮されます。
 例えば
・親が大学卒の場合には、子の大学の学費の支出も考慮します。
・22歳と定めた例もあります(親が医師、子どもが既に大学に進学している場合など)。
私学費用は?
 算定表は公立学校の教育費を考慮して作成しており、私学は考慮しておりません。義務者がその私学への進学を承諾している場合や、その収入及び資産の状況等からみて義務者に負担させることが相当と認められる場合には、考慮する必要があるとされています。

 

養育費の請求方法

 養育費を決める方法として、話し合いで決める方法、調停、審判で決める方法、離婚裁判のときに決める方法があります。

養育費を話し合いで決める
 算定表を元にするなどして、当事者間で決めることも多いです。
 公正証書にすれば、支払がより確実となります。支払が滞ったときには、給与差押等が可能となるからです。
 但し、相手が無収入、自営、仕事を転々として就業先が不明であったりして給与の差し押さえをすることが難しいときもあります。
養育費を離婚調停で決める
 調停で話し合って決め、調停調書にすることもよくなされます。調停調書を使用して、給与差押等をすることが可能です。
養育費を裁判離婚のときに決める
 裁判離婚のときに、一緒に判断してもらい、判決を出してもらう(途中で和解をすることも多いですが)ことも可能です。もちろん、和解のときに裁判所が作成する和解調書、判決により強制執行することが可能です。
養育費を離婚後に請求することも
 離婚を急ぎ、養育費を決めないで離婚し、もらっていない人もいます。
 そのようなときは、離婚後に、その後の養育費を請求し、金額等を決めることも可能ですし、話がまとまらないときには、調停をすることも可能です。

養育費を増やしたり、減らしたりすること

 養育費について、一度決めても、長い年月が経つと色々と事情が変わることがあります。
 そのようなとき、決めたものは一切変更できないとなると、支障が生じます。
 そこで、養育費について一度決めても、事情が変化したときには、養育費の増減額請求を求めることができます。
 但し、一度決めたものであり、多少の変化はあるものなので、事情の変化があっても、変化が一時的なものであったり、多少の変更位ではだめで、一定の期間の経過と相当程度の事情の変化を要するとされています。

養育費の増減額請求が求められる場合
養育費の増減額請求が認められる可能性があります。
・父母が再婚し、新たに子供が生まれた場合
・父母の収入の変化(失業等)
・病気
・子どもの就職
養育費の増減の方法
 増減額について話し合いで決まらないときには、家庭裁判所に調停や審判の申立をすることも可能です。

決めた養育費を支払ってもらえないときは

 一度決めたもので、しかも支払が可能であるのに養育費の支払が止まってしまうケースもあります。
 そのようなときは、放っておかないで、まず、事情を確認しましょう。
  収入があるのに支払わないときには、支払を求めましょう。
 それでもダメなときには、弁護士に相談しましょう。
 弁護士から請求すると、支払ってもらえることもあります。
 特に公正証書や調停調書、判決などがある場合には、給与差押強制執行が可能であり、弁護士から、「払わなければ次は強制執行をする。」と通知すると、定職のある人であれば普通は支払ってきます。
 それでもダメなときには、強制執行ができるときは、給与差押等の強制執行を検討しましょう。